折伏教典

折伏教典 昭和43年10月1日 改訂34版より転記。

『改訂版の序』

 牧口初代会長が創価学会を結成されて以来、すでに三十八年になる。創価学会の大願、使命はいうまでもなく法華流布(ほっけるふ)、すなわち折伏行(しゃ くふくぎょう)にあり、不幸な人々の味方となり、新社会建設の戦いを進めて、いまや世界的な規模(きぼ)に発展し、日本の新しい潮流(ちょうりゅう)と なっていることを確信する。
 昨年十月十二日には、総本山大石寺において正本堂建立発願式(しょうほんどうこんりゅうはつがんしき)が挙行(きょこう)され、事実上の本門戒壇はあと四年の後、すなわち、昭和四十七年に、実現しようとする段階に入った。
日蓮大聖人が広宣流布は「大地を的(まと)とするなるべし」と予言なされ、日寛上人が順縁広布(じゅんえんこうふ)の時といわれたその時が、いま正しく創価学会の活躍によって到来(とうらい)したと喜びにたえない。
 この折伏教典は、昭和二十六年十一月十八日の初版発行以来、常に学会員の偉大な原動力として、折伏行の実践に重要な使命を果たしてきた。
当時は同年五月三日の戸田前会長の会長就任以来半年を経過しており、すなわち折伏大行進の出発の時でもあった。
 学会の発展とともに誕生したのがこの折伏教典であって、月々日々に激増(げきぞう)する同志に日蓮大聖人の色心不二の大生命哲学をわかりやすく教え、日 蓮正宗の教義の大要と、創価学会の使命、折伏理論などを短時日のうちに会得(えとく)して、学会員は安心して折伏活動に励んできたものと思う。
  一冊の本が大きく時代に影響(えいきょう)を与え、民衆の幸・不幸を左右したという例は古今(ここん)の歴史にしばしば認(みと)められるところであるが、この折伏教典ほど、民衆の幸福生活の確立に寄与(きよ)しつづけている本も稀(まれ)であるといわねばならない。
 思えば創価学会は長い間にわたって、多くの人に誤解(ごかい)されたり、妄評(もうひょう)や悪宣伝を加えられたこともあった。その原因はいろいろあるとしても、まずこの「折伏」(しゃくぶく)について正しい理解をもたなければならない。
 仏教を弘通するには二つの方法があり、一には摂受、(しょうじゅ)二には折伏で、「一切の経論(きょうろん)此のニを出でず」といわれている。
しかも法華経は折伏にあることは、すでに釈迦、天台、伝教の実践したとおりであり、さらに末法は特に折伏にあることは日蓮大聖人の厳誡(げんかい)なのである。
 ゆえに、いま順縁広布(じゅんえんこうふ)の時を迎えたとはいいながら、折伏精神と、折伏行の実践はますます重要とならざるをえない。
われわれの周囲を見ても、現実に多くの不幸の人々がいるし、日本の国の平和と安泰(あんたい)も大宗教、偉大なる高等宗教の裏付けなくして実現できようはずはない。
しかも、人類永遠の平和と幸福は万人の願求(がんく)するところでありながら、アジアの一角に連日繰(く)り広げられる悲惨(ひさん)な戦禍(せんか)は いうまでもなく、唯物(ゆいぶつ)論と唯心(ゆいしん)論という偏執(へんしゅう)をもとに、政治、経済、外交など各方面にわたり、際限(さいげん)のな い争いが繰り返されてしまっている。
 このような時にあたり、いま本書の改訂第二十六版を発刊することとなった。
特に、初信の方々は、この書をとおし、正しい折伏、正しい指導のあり方を学びとっていただきたい。
そして、一目も早く、社会の人々に、宗教の絶対必要性と、宗教の高下(こうげ)・浅深(せんじん)・善悪(ぜんあく)等の厳(きび)しさを認識させていただきたい。社会の恩を返すためにも。

  昭和四十三年九月十二日    創価学会会長 池  田  大  作  (P1〜3)


『改訂版発刊の辞』

 創価学会の草創期において、牧ロ初代会長、戸田前会長が折伏を行ずるのを見て、宗門の内外ともにこれに驚(おどろ)き恐(おそ)れをなして、ひんしゆくし怨嫉(おんしつ)した。
ということは、日蓮大聖人の御入滅以来六百余年、創価学会の出現するまでは、仏説のごとく折伏を行ずる者がなく、折伏精神を忘れてしまっていたのである。
 そこで牧口初代会長は折伏を行じて滅びゆく日本を救わんとなされ、戸田前会長は七十五万世帯の折伏を達成して願行成就(がんぎょうじょうじゅ)なされた。
すなわち折伏こそ学会精神の根本である。
 そして今日の創価学会は、さらに第三代池田会長のもとに団結して折伏を行じ、昨年は正本堂建立発願式を挙(あ)げ、さらに本年は栄光の年として、会長就任満八年を迎えた。
 日蓮大聖人が折伏を行じ、また弟子に対して不惜身命(ふしやくしんみょう)の折伏行を指導なされていることは、多くの御書にこれを拝することができる。
かつて天台、妙楽も法華経(ほけきょう)、涅槃経(ねはんぎょう)等から末法の濁悪世(じょくあくせ)に折伏の必要なことを説いているし、勝鬘経(しょう まんきょう)、瑜伽師地諭(ゆがしちろん)等にも折伏について説かれてと、さらにその折伏に現代語をもって実相の解明に資するの必要性を感ずるにいたりま した。
 しかも、昭和二十六年五月三日、学会の折伏大行進以来、同志の糾合激増(きゅうごうげきぞう)して、この教育にひじょうなる苦心がはらわれ、それがゆえ に短時日に教義の大要(たいよう)、折伏理論の会得、学会精神のありかたを知らしむるの必要に迫(せま)られたのであります。
 幸いにも牧口先生以来の教育と学会再建以来の七年の時日は学会の誇(ほこ)りとする教学部の諸氏を生み、この誇りある教学部が中軸(ちゅうじく)となって、ここに折伏教典完成の日をみるにいたりました。
 この一冊を手にするときに日蓮教学の大要、明瞭(めいりょう)にして、折伏理論の厳(げん)たるものを示しております。
 願わくは、行学の諸氏、この一冊を力となし、末法折伏の人たらんことを切望(せつぼう)してやまないものであります。
   昭和二十六年十月十三日      戸田城聖記す   (P1〜2)



折伏教典(目次)

 『目 次』
 総 論

第 一 章  生命論・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・三
   一、生命の本質論・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・三

   二、戸田前会長の生命論・・・・・・・・・・・・・・・・・・・二八
   三、大利益論 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・四八
第二章 一忿三千の法門・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・五八
   一、十界論・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・五八
   二、十如是・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・六二
   三、三世間・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・六六
   四、事行の一念三千・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・六七     (P1)

第三章 人生の目的と幸福論・・・・・・・・・・・・・・・・六九
   一、人生の目的は何か・・・・・・・・・・・・・・・・・六九
   二、不幸の原因と絶対の幸福・・・・・・・・・・・・七五
第四章 日蓮大聖人と末法の民衆・・・・・・・・・・・・八0
   一、釈迦とわれわれの関係・・・・・・・・・・・・・・八0
   二、三種の法華経・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・八四
   三、末法の木仏日蓮大聖人・・・・・・・・・・・・・・八五
   四、御本仏日蓮大聖人と御本尊・・・・・・・・・・・八七
第五章 宗教批判の原理・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・九0
   一、三証―文証・理証・現証・・・・・・・・・・・・・・九一
   二、五綱―教・機・時・国・教法流布の先後・・・九五
   三、五重の相対・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・一00
   四、五重三段・四重興廃・三重秘伝・・・・・・・・一0六    (P2)

第六章 釈迦一代仏教と日蓮正宗・・・・・・・・・・・・・一一0
   一、釈迦一代の仏教・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・一一0
   二、正像末の三時・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・一一三
   三、日蓮正宗・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・一一五
第七章 既成諸宗派と日蓮宗各派の批判・・・・・・・・一二一
   一、既成仏教諸宗派の批判・・・・・・・・・・・・・・・一二一
   二、日蓮宗一致派・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・一三七
   三、日蓮宗勝劣派・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・一四六
   四、新興宗教・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・一五九
第八章 外道および民間信仰・・・・・・・・・・・・・・・・・・一七六
   一、神と霊魂説・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・一七六
   二、迷信と魔の通力・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・一八一

   三、おもな邪宗教の批判・・・・・・・・・・・・・・・・・・・一八六   (P3)
第九章 日蓮正宗の歴史・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・二二六 
第十章三大秘法の本尊・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・二三四
   一、本尊論・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・二三四
   二、日蓮正宗の本尊・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・二三六
   三、本尊の功徳(利益)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・二三九
   四、この本尊に背く者に罰あり・・・・・・・・・・・・・・・二四一
第十一章 折伏論・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・二四四
   一、折伏とは何か・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・二四四
   二、折伏は難事である・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・二四七
   三、折伏の大利益・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・二五0
   四、折伏の心がけ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・二五三
第十二章 宗教革命と日蓮正宗・・・・・・・・・・・・・・・・・・二五八
   一、仏教の誕生・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・二五八   (P4)

   二、日蓮大聖人と宗教革命・・・・・・・・・・・・・・・・・・二五九
   三、宗教革命と世界平和 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・二六二
第十三章 王仏冥合と第三文明・・・・・・・・・・・・・・・・・・二六九
第十四章 価値論・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・二七九
   一、価値論・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・二七九
   二、認識と評価・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・二八0
   三、価値内容・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・二八二
   四、評価法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・二八四

 各   論

第 一 章 信仰に無闇心な者に・・・・・・・・・・・・・・・・・・二九五
   一、信仰する気持ちが起こらない・・・・・・・・・・・・・・二九五
   二、信仰の必要を認めない・・・・・・・・・・・・・・・・・・・二九七   (P5)

三、信仰するほどの悩みがない・・・・・・・・・・・・・・・三0一
四、信仰すれば幸福になるとは考えられない・・・・・三0三
五、現在は幸福である・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・三0四
六、さわらぬ神にたたりなし・・・・・・・・・・・・・・・・・・・三○七

第二章 信仰に反対の者に・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・三一0

一、創価学会について正しく認識していない人・・・・三一0
二、信仰に反対である・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・三一二
三、宗教は迷信である・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・三一四
四、信心はこりごりだ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・三一八
五、罰があるということがわからない・・・・・・・・・・・・三二一
六、ご利益を願うのはおかしい・・・・・・・・・・・・・・・・・三二三
七、ご利益があるということが納得できない・・・・・・・三二五   (P6)

第三章 他の信仰に関心をもつ者に・・・・・・・・・・・・・・・・三二九

一、宗教はなんでもよいので、他宗をけなすのはよくない・・三二九
二、信仰は心が満足すればよい・・・・・・・・・・・・・・・三三二
三、迷いを当ててくれるからありがたい・・・・・・・・・・三三三
四、お題目さえ唱えればそれでよい・・・・・・・・・・・・・三三五
五、ご真筆ならなんでもよい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・三三八
六、大聖人の絵像木像を拝んでいるからよい・・・・・・三四一

第四章 求めている者に・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・三四四

一、他の宗教とどう違うか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・三四四
二、先祖からの宗教を捨てるわけ・・・・・・・・・・・・・・・三四六
三、神だなやお札を取るわけ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・三四九
四、科学と宗教とはどういう関係か・・・・・・・・・・・・・・・三五一
五、他の日蓮宗とどう違うのか・・・・・・・・・・・・・・・・・・三五四
六、邪宗という意味は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・三五六
七、信ずるということを具体的にいえば・・・・・・・・・・・・三六0   (P7)

八、なぜ本尊を拝むのか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・三六五
九、納得できるまで聞きたい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・三六六
十、わかったら実行する・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・三六九
十一、罰が出たらやる・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・三七二

第五章 入信した人のために・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・三七五

   一、日蓮正宗と創価学会との関係・・・・・・・・・・・・・・・・三七五
   二、公明党と創価学会との関係・・・・・・・・・・・・・・・・・・三七八
   三、謗法ということ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・三九0
   四、折伏をしなければならないのは・・・・・・・・・・・・・・・・三九二
   五、勤行の仕力・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・三九五
   六、海外における信仰生活・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・三九八  (P8)
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