「顕正新聞・平成3年2月5日号」

【組織活動上の諸注意と制戒五箇条】

一月二十二日、壮年部支区部長・婦人部地区長・男子部支隊長・女子部総班長以上の中核幹部七百余名が参集して本部指導会が本部会館で行われたが、席上、浅井先生より「一国広布への本格的前進開始に当たり、組織上の諸注意と、顕正会員として犯してはならない五ヶ条を確認しておきたい」として、重大な指針が示された、以下その要旨である。

本年から、いよいよ一国広布をまざしての本格的前進が開始されるが、この時に当たり、今後の長き戦いを思い、また広布の航路の安全のために、幹部として心得るべき組織活動上の諸注意と、顕正会員として犯してはならない五箇条を、本日の本部指導会で確認しておきたい。

【組織活動の諸注意】

広宣流布の戦いは長期にわたる。ゆえにムリ・ムダ・ムラは避けねばならない。リズム正しい活動の中にこそ、広布を着実に進める力が出てくるのである。
 そこでまず、組織活動上のルールをきめておきたい。まず

【一、電話連絡は原則として午後十一時までとする。】
 組織活動でお互いの電話連絡は欠くことのできない。しかし広宣流布のためだからといって、夜中の何時にかけても構わないということはない。
 「隊長は仏法のためには命を惜しまないと云っているから、御前三時でも起こしちゃえ・・・」(爆笑)ではたまらない。それではあすの戦闘力に影響する。
 そこでお互いに、電話は午後十一時までと決めたい。ただし緊急事態の場合は別である。

【二、班長以上の定期報告日においては、各班長の報告は午後十時までに行うこと。】
 定期報告日には、たとえば壮年部でいえば、班長から支区部長、支区部長から支部長、支部長から壮年部長へと報告が行われる。
だから、初めの班長の報告が遅くなると、最後は限りなく遅くなる。よって班長の報告は午後十時までに済ませてほしい。

【三、勤務先への電話連絡は、相手の職場の状況等に配慮するとともに、長電は避けること。】
 職場によっては、電話をかけられると困るところもある。そういう場合は前以で「何時にかけたらいいか」とか、あるいは「都合のいい時にかけ直してほしい」とか、相手の職場における立場を守ってあげる配慮が必要である。
 また職場での長電話はいけない。その時は要点だけにして、あとでゆっくり話せばよい。自分の都合だけで、相手を考えない自分中心の"天動説"では困る(笑)。

【四、折伏活動においても、深夜に及ばぬよう心掛けること】

 青年部は元気がいいから「昨日は明け方まで折伏をした」などとよく聞くが、その情熱は大いに結構。
 しかし翌日ダウンしては仕事に差しつかえる。仕事も一人前、信心活動も一人前ではなくてはならない。
 だから折伏活動も、あんまり夜遅くなってはいけない。適切な時間で切り上げる限度と価値的な行動をとってほしい。
 要は、リズム正しい活動を以て、常に溌剌として、功徳に歓喜しつつ、着実に広宣流布を進めていきたいというのが、私の願いである。

【五、組織内での世間的な贈答は不要。】

 これは婦人部などでよく見かけることだが、"信心の上でいつもお世話になっているから"と、品物を贈ったり、もらったほうはまたお返しすることか、このようなことは、組織内では一切やめるように。
 先輩が後輩を指導し、また共に戦うのは、誰のためでもない、みんな自分の修行である。先輩も後輩も、ともに大聖人様への御奉公なのである。
 だから、信心上の御義は信心で返すべきである。世間のわずらわしい虚礼を、仏道修行の組織に持ちこんではならない。
 ただし、就職・結婚など、世間的なことで世話になった時には、世間的な礼儀を尽くすのは当たり前のことである。

【制戒五箇条】

 次に顕正会員として、してはならぬことを五つ挙げておく。してはならぬ誡めを仏法では制戒という。
 二祖日興上人は御遺誡廿六箇条を定め置かれ、その目的を「偏(ひと)えに広宣流布の金言を仰がん為めなり」また「此の内一箇条においても犯す者は日興が末流に有るべからず」と仰せられている。
この廿六箇条こそ、万年にわたる日蓮正宗の憲法である。
 いま顕正会は広宣流布の生命体である。日蓮正宗の中で、大事な御遺命がまさに破壊されんとしたとき、解散除名の正義を守り抜き、そしていま一国広布に厳然と立ち上がっている。
一国に「立正安国」を叫ぶ資格、「国立戒壇」を叫ぶ資格は、日蓮正宗の中には顕正会以外にはない。
 この清らかな広宣流布の生命体を、魔は必ず狙う。魔のたぶらかしから、この清らかな生命体を守る義務が私たち幹部にはある。
 そこに日興上人の御遺誡を根本として、いま広宣流布の前進において、顕正会員として犯してはならぬ五箇条を、挙げておきたい。
 この五箇条を犯す者を見たら、幹部は誡めてほしい。誡めても懺悔がない場合は、多くの人をたぶらかし広宣流布の妨げとなるから、除名あるいは謹慎処分にすべきであると思う。
 
 五箇条には
 一、日蓮正宗の根本教義に背く者。
 二、顕正会を怨嫉(おんしつ)し組織を破壊せんとする者。
 三、入信・入会願書を偽造する者。
 四、組織を利用して同志に金銭上の迷惑をかける者。
 五、悪質な犯罪を犯し、仏弟子の対面を汚す者。 

以上である。では、まず初めの第一条から説明する。


 【一、日蓮正宗の根本教義に背く者。】

 日興上人は廿六箇条の冒頭に「富士の立義(りゅうぎ)、聊(いささか)も先師の御弘通に遺(い)せざる事」と仰せられているが、日興上人の門流・日蓮正宗だけが、大聖人様の御義を寸分も違えず伝えてきた正系門家である。
 その日蓮正宗の根本教義とは何か。一言でいえば、三大秘法と三宝の立て分けである。
 申すまでもなく、三大秘法の随一とは「本門戒壇の大御本尊」であられる。魔はこの大御本尊への信を薄くさせようと、常に狙っている。
 ゆえに日蓮正宗の僧俗の中にも、魔にたぶらかされた者は、恐れ多くも戒壇の大御本尊様への誹謗を始める。これを魔の所行という。
 最近でも、正信会の久保川法章などという僧侶は、「弘安二年の大御本尊」と題するパンフレットで大御本尊を誹謗している。
正信会ではこういう悪侶を除名したのかどうか。もし除名をしていなければ、与同罪免れない。
 顕正会の中でも、数年前にこんなことがあった。
集会してきた柳沢某というのが、しばらくするうちに「保田の妙本寺にある万年救護の本尊が大聖人の出世の本懐だ」などと云い出し、顕正会員を誘うようなことをした。
 これを聞いて私は、事実を確認の上に、直ちに除名した。このような謗法の者を放置しておいては、大聖人様に申しわけないからである。
 「法を壊る者を見て置いて呵責し駈遣し挙処せずんば、当に知るべし、是の人は仏法の中の怨なり」の御金言はこのことである。
 また現在、三大秘法の中の本門戒壇について、"正本堂が御遺命の戒壇である"などという者が正系門家の中にあるがこういう者も日蓮正宗の根本教義に背く者である。もし顕正会員でこのような己義を唱える者があれば、私は放置しない。
 また宗門の中でこのような違背の説を云う者があれば、断じて諌暁しなければならないのである。
このように「日蓮正宗の根本教義に背く者」を、そのままにしてはいけない。

【二、顕正会を怨嫉(おんしつ)し組織を破壊せんとする者。】

 顕正会が広宣流布の生命体であり、使命ある仏弟子の集団である以上、魔は必ず怨嫉し、組織を破壊しようとする。すなわち「破和合僧(はわごうそう)」を企てるのである。
 大聖人の御在世を拝見すれば、竜の口の大法難の時には少輔房・能登房・名越の尼などが退転して組織を撹乱し、また熱原の大法難の時には大進房・三位房などが外部の謗法者と結託して組織を破壊せんとした。
 「日蓮が弟子に、少輔房といい、名越の尼なんど申せし物どもは、欲深く、心をくびやうに、愚癡にして、而も智者となのりしやつばらなりしかば、事の起こりし時、便りをえて多くの人をおとせしなり」と。《日蓮が弟子にせう房と申し、のと房といゐ、なごえの尼なんど申せし物どもは、よくふかく、心をくびゃうに、愚痴にして而も智者となのりしやつばらなりしかば、事のをこりし時、たよりをえておほくの人をおとせしなり。》(比較用に、御書から原文)
 信心不純で名利の強い者は、ことの起きた時に退転する。しかも自分が一人退転するのではない。「多くの人をおとせしなり」と。すなわち組織を破壊すると仰せられている。
 顕正会でも、本門寺改称の陰謀粉砕をかけた昨年の御奉公を前にして、一昨年、寺田事件などが起きた。
信心不純で名利の強い寺田は、顕正会員を怨嫉する外部の勢力に利用され、顕正会の組織を破壊しようとした。
 何人かの物がたぶらかされたが、その者たちはいまことごとくみじめになっている。事が終われば、"なんであんなことにだまされたのか"ということになる。真面目な人たちの信心を狂わす破和合僧の罪は、まことに重い。
顕正会の御奉公は、いよいよこれからである。ゆえに今後も、さまざまな悪人が組織破壊を狙うであろう。そのような時、幹部はいち早く事の本質を仏法の眼で見抜き、真面目な会員と清浄なる組織をまもらなく《判読出来ません》


【三、入信・入会願書を偽造する者。】

 これはどういうことかというと、入信・入会願書の願主の欄に偽りの氏名を記入して、あたかも入信・入会したかのごとく見せかけ、折伏成果を偽るのである。
 純粋な顕正会員には想像もつかぬことだが、過去に二人こういう破廉恥なことをやった幹部がいた。直ちに除名をしたが、このような所行は、上(かみ)は大聖人様を欺き奉り、また顕正会の清浄なる死身弘通に泥をぬるものであるから、大罰を受ける。
 このようなことをする者は滅多にいない。しかし過去に二人いたということは、長い将来にはまた出ないとは限らない。よって罪障を作らせないために、敢えて一条を設けたのである。

【四、組織を利用して同志に金銭上の迷惑をかける者。】

 組織内での金銭賃借は厳禁。これはけんしょうかいいんの鉄則である。必ず信心退転のもとになる。
 ことに組織内での役職の上の者が、後輩に"金を貸してくれ"というのが一番悪い。このような時、絶対に貸してはいけない。
「金銭賃借は本部で禁じられているからと、はっきり云って断わってほしい。
 また組織を自分の商売に利用してはいけない。こういうのを"利用信心"という。たとえば、組織の人間《判読不能》たり、互助会などの加入を強要したり、そういうことは"利用信心"となる。
 顕正会の組織は仏道修行のためにだけある。広宣流布のためだけにある。この清浄なる組織を、私欲で利用することを、許してはならない。

【五、悪質な犯罪を犯し、仏弟子の対面を汚す者。】

 "信心していれば、世間の悪行をやってもよい"などと云う道理はない。信心をすれば、世間の悪いことも自然とできなくなるというのが本当である。
 だから、信心していて悪行をするということは、信心そのものが不純だということを物語る。
三大秘法をたもつ者が、世間の凶悪なる犯罪を犯せば、御法に傷をつけ、大聖人様のお顔に泥をぬることになる。このような者は顕正会員たる資格はない。
 このことは、犯罪を犯した者を入信させないということではない。顕正会員が御法に傷をつけることを誡めるのである。
 以上、顕正会の一国広布への戦闘開始の時に当たり、広布の航路の安全を期するため、幹部として心得るべき条々を説明した。
 顕正会の使命は重大である。前幹部心を引きしめ、魔の便りを排し、広宣流布・国立戒壇へ、体をぶつけて戦おうではないか。(大拍手)

inserted by FC2 system